社長ヌカちゃんの部屋

房総録

子供の教育

(本稿は、2月14日付千葉日報「房総録」に掲載されたものです)

額賀 信[ちばぎん総合研究所取締役社長]

  本欄で何度か取り上げているが、私はワイア・フォックス・テリアを飼っている。犬の初心者としては、まずまず無難に育てたのではないかと思う。しかし私は、犬の顔を見ながら時々自問することがある。私の3人の子供たちをきちんと育てたのだろうかと。
  犬を飼うに当たっては、犬種、時期、役割分担についてずいぶん家内と相談した。犬がして良いことと悪いことについても議論を重ね、認識を共有して対応した。育て方については本を何冊も読んで研究し、時々は専門家から意見を聞いた。週末には、どんなに疲れていてもあるいは忙しくても、必ず散歩に連れていった。暇があれば遊んでやり、無理をしてでも家族旅行に同伴させた。
  そうした犬の育て方と比べてみると、子供については、もっとずっと衝動的で場当たり的だったように思うのだ。子供を持つに当たっては、事前によく議論したわけではなかった。育て方について育児書を読んだことはなかったし、誰かに相談したこともなかった。勉強も聞かれれば教えたけれど、こちらから積極的に教えたことはほとんどなかった。教育方針について家内と議論することも少なかった。家内も私も議論が上手ではなかった。とりわけ子供のことになると、無意味に激しやすかった。
  私は若くて余裕がなかった。私が子供のためにしなければいけないことは、よく働いてお金を稼ぐことだと思っていた。子供は自然に育つものだとも思っていたから、父親としての出番を考えることは少なかった。子供は、私にとってむしろ遊び相手だった。スキーやハイキングにはよく一緒に出かけ、それを私が楽しんだ。
  よく遊んだせいかもしれない。子供たちは、皆スポーツや音楽の好きな体育会系の人間として明るく成長した。一番下の息子も今春から大学生になることになった。子供たちには不満はない。しかし自分に対しては若干不満が残る。
  犬を育ててみて、子供たちについてももう少し何かできたのではなかったかと疑問に思うのだ。一番欠けていたのは、家内との対話だったかもしれない。だから多少の心残りはある。それでも子供たちは皆元気に育ってきた。それを私は感謝する。

●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。

_EOF_