社長ヌカちゃんの部屋

その他随想

生産性向上に必要なこと

(本稿は、9月5日付生産性新聞「一言」に掲載されたものです )

額賀 信[ちばぎん総合研究所取締役社長]

  生産性向上論議が盛んである。人口減少社会で成長を維持しようとすれば生産性向上が不可欠なことは明らかだが、それをどう実現するかについては検討を要することが少なくない。
  一つは、個別企業の生産性向上努力がマクロの成長に結びつくのかだ。個別企業が生産性を引き上げるための最も簡便な方策は、人員の削減ないし増員抑制である。多くの企業が人員抑制策をとった場合、個別企業としては合理的な経営戦略でも、マクロでは雇用者報酬の減少を通じて成長抑制的に作用する。これをどう乗り越えるかが問題だ。
  もう一つは、マクロで成長しないとき生産性向上が実現するのかだ。これからの日本では急速に人口が減少し、国内市場縮小の力が大きく働いてくる。国内市場が縮小を続けていても生産性向上を維持できるのだろうか。これも難問だ。
  ここ10年ほどの経験を振り返ると、企業の生産性向上努力は需要喚起に成功した時あるいは拡大する需要と結びついた時、マクロの成長につながるとともに生産性向上が持続的に実現した。成長と生産性向上は、相互に不可欠なのだ。そうだとすれば生産性向上のためには、供給側だけでなく需要面への配慮も必要だ。
  人口減少社会に突入したわが国にとって最大の幸運は、世界が大成長時代を迎えていることだ。世界経済の拡大に適応して輸出を増やし、外国人観光客をひきつけることができれば、成長と生産性向上を同時に実現できる。需要面への配慮は重要なのである。

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