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不況の今こそ人材育成―教育研修を効果的に

(本稿は、12月6日付千葉日報に掲載されたものです)

(株)ちばぎん総合研究所
  主任コンサルタント
太田 剛

  不況時に企業が真っ先に削減する経費は「K」のつく費用で、「交際費」、「交通費」、「広告宣伝費」、「教育研修費」、「コンサルティング費」などと言われる。私は人材育成コンサルタントとして企業に出向いてその企業に合ったオリジナルな社内研修の企画・運営に主として携わっている。従って、リーマンショック以降、「K」のつく費用の中でも「教育研修費」の削減を誰よりも実感している。
  「企業は人なり」と昔から言われるが、日本は諸外国に比べて教育・研修にかける費用は少ない。少し古くなるが2003年の「ASTD(米国研修訓練協会)国際調査」では給与支払総額に占める研修費の割合は、米国と欧州では2.2%、カナダでは2.8%、中国では4.8%であるが、日本は1.2%しかない。
  また、厚生労働省の「平成18年就労条件総合調査」でも、労働者1人当たりの年間教育訓練費は1万8,492円(月間1,541円を年額換算した)である(従業員1千人以上の大企業に限っても年額換算で2万7,108円しかない)。
  しかしながら、この不況下であっても教育研修に力を入れている企業もある。近東地区にあって、従業員が約50人の建設会社では、従業員1人当たり年間20万円以上の研修費を長年計上しており、今もなおその水準を維持している。その企業を訪問すると、社員はいつも明るく、モチベーションが高い。改善マインドもあって社内がいつも活気付いている。建築業界は特に厳しい環境にあるにもかかわらず、当社の業績は順調に推移している。社長の人材育成への熱い思いが確実に社員に届いているからではないだろうか。
  人材育成は投資である。設備投資や研究開発投資と同じように、将来を見据え長期的・計画的に考えるべきである。「社員がすぐに辞めるので教育しても意味がない」という社長がいる。確かに転職することに躊躇(ちゅうちょ)しなくなり、定着率が昔と比べ悪化していることは事実である。
  しかし、社員を計画的に教育し、社員が仕事を通じて自己の成長を実感し、難しい仕事をやり遂げることで達成感を味わうことができれば、そんなに簡単に社員は辞めない。自社の社員が成長し、業務遂行能力や人間的魅力が高まって、企業や社会に大いに貢献していく姿を見ることは、業績を伸ばすことと同様、経営者のこの上ない喜びであるはずだ。
  以下に教育研修をより効果的にするための方法を3点掲げるので社内に徹底してほしい。
  1、まず、受講者の上司が事前に研修内容を十分把握し、受講者が研修で習得して欲しい項目や期待する水準などを明確に受講者へ伝えておくことだ。これによって、研修効率は格段に向上する。
  2、次には、受講後に受講者から研修の感想を聞き、実際に業務にどう活かすのか、いつまでに、何を、どのレベルまで行うかを具体的な目標に落とし込むことである。「ヤル気を出して頑張ります」ということではなく「3カ月後には顧客からのクレームの数を半減させます」などと数字で評価できるレベルの目標設定にすることである。
  3、最後に、その成果をきちんと確認し、フェアーに評価することである。そしてその評価を本人だけではなく、関連する部署にもフィードバックすることが大切である。
  この3つを社内に徹底し、受講生の「受けっぱなし」と人事担当者の「受けさせっぱなし」をなくすようにしよう。研修帰りの社員に対して「いい休暇になったな」などと発言する管理者や同僚がいなくなることを願う。


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