会長ヌカちゃんの部屋

ヌカちゃんの窓

2010年経済の展望

(本稿は、東京ジャーナル社発行の「財政金融ジャーナル」1月号「ヌカちゃんの窓」に掲載されたものです)

額賀 信[ちばぎん総合研究所取締役社長]

  2009年経済を振り返ると、実質GDPは、4〜6月から回復に転じ、7〜9月にもその回復基調を維持できた。その後は日銀の09年12月全国短観によれば、製造業、非製造業とも、全規模で業況判断が改善している。09年については何とか景気の回復基調が続いていたことが窺われるが、問題は先行きである。
  10年経済については、景気の二番底が懸念されている。景気の二番底とは、明確に定義されていないが、ここでは回復の勢いが途切れ、2四半期連続のマイナス成長を余儀なくされるような状況と考えよう。二番底はあるのだろうか。
  前述の12月短観によれば、大企業は、製造業も非製造業も先行き改善を見込んでいるのに対し、中堅企業、中小企業は、両業界でともに若干の悪化を見込んでいる。先行き慎重になる要因の第一は、在庫調整進捗の影響が薄れることである。09年春からの回復には、在庫調整が進捗し、在庫減らしの減産を緩和できたことが大きく響いているが、その影響が一巡した後は、増産を維持するだけの最終需要がついてくるのだろうか。その懸念が強いのである。
  第二は、日本を含む主要国の景気対策について、息切れ懸念のあることだ。住宅投資や自動車購入にかかる政策支援や、雇用維持のための補助金支給について、それが続けられるのか、続けられたとしても効果はどうか、懸念が残るのである。
  第三は、バランスシート問題の帰趨である。中国を始めとする新興国の成長は続きそうだが、欧米では、バランスシート問題が尾を引きそうだ。ドバイ・ショックのようなことも再発するかもしれない。世界経済が安定して発展するだけの条件が、なお整っていないのである。
  わが国の問題を考えると、生産年齢人口(15〜64歳)が年間80万人近く減っていて、国内市場を縮小させる力が年々大きくなっている。成長戦略が明確に描かれないまま、財政赤字が累増していることも、人々の不安心理を高めている。原料高・製品安も続きそうだから、しわ寄せを受けやすい中堅・中小企業の収益状況は厳しいだろう。
  年初から明るくない話題が中心になったが、こうした状況を総合的に勘案すると、回復基調が一本調子で続くとは考えにくい。2四半期連続のマイナス成長になるかどうかは明言できないが、回復が途切れがちの不安定な展開になる可能性が高い。経営面では、景気対策に依存せず、ゼロ成長に耐える体制づくりが必要だ。

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