ヌカちゃんの部屋

ヌカちゃんの窓

夢を描いてみよう

(本稿は、東京ジャーナル社発行の「財政金融ジャーナル」3月号「ヌカちゃんの窓」に掲載されたものです)

額賀 信[ちばぎん総合研究所取締役社長]

  多くの地域の衰退が止まらない。地域活性化の必要性が叫ばれて久しいが、なぜ地域は活性化しないのか。もちろん地域を取り巻く環境の厳しいことは、よく知られている。誘致企業も公共事業も人口も減っている。活力が生まれない理由なら、いくらでも見つけられるだろう。
  しかしこうした環境悪化は、随分前から予見されていた。地域を活性化させるために必要な対応策も、すでにたくさん提案されている。それにもかかわらず対応策は実施されず、あるいは継続されなかった。だから問題は、厳しい環境それ自体ではない。それを乗り越える活動が広がらないことこそが、本当の問題なのである。
  なぜ活動が広がらないかについて、全国各地の人々と率直に議論すると、しばしば耳にする意見がある。それは、「地域の人々が本当のところ困っていないからですよ」というものである。「人々が実は豊かなのですよ」と述べる人もいる。言うまでもないが、どの地域にも困っている人々はいる。しかしここで「困っていない」というのは、大多数の人々が今日明日の生活をし、食べていくのには困っていないという意味である。
  地域活性化のための活動には、面倒なことが少なくない。重い腰を持ち上げて面倒なことに取り組むよりも、何とか今の生活を維持できれば十分、と考えている人々が多い。それが、活動の広がらない重要な原因である。もし生活の困窮だけが人々を立ち上がらせる力になるのだとすれば、地域活性化の活動が広がるためには、人々が本当に困窮するまで待つしかないことになるだろう。
  しかし、活力があるとして最近注目されている地域に注目してみよう。例えば、山形県東根市、長野県下條村、岐阜県高山市、島根県海士町などである。これらの地域に共通しているのは、子育て支援に熱心なことである(いずれも「にっけい子育て支援大賞」受賞先)。なによりも子育て支援資金を捻出するための節約や工夫が、地域に根付いていることである。このような地域では、将来への夢が膨らむに違いない。それは、単なる子ども手当ての支給では決して生まれない将来の夢である。
  地域の活性化にとって本質的に必要なのは、施しではない。手に届く夢こそが、地域を活性化させる源である。夢が確信に変われば、人々は動き出す。だからまずは夢を描いてみよう。そしてその夢を実現するために知恵を絞ってみよう。その工夫こそが地域を救うだろう。

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