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わたしの意見 ― 水野 創

気懸りな長期金利の上昇―「大胆な金融緩和」への期待と懸念―

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」12月21日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 新政権の姿が見えてくるのと時を同じくして、低下傾向にあった長期金利がじりじり上昇を始めた。



 市場が、新政権のデフレ脱却に向けた取り組みへの期待と財政規律の低下への懸念の入り混じった評価を示している。

 今回の動きが直ちに長期金利の急騰につながるかといえば、@貿易収支の赤字が続いているとはいえ経常収支の黒字は当面継続すると見込まれ、A国内の貯蓄も十分な現状では、そうはならないと思う。しかし、前回のビジネスレターでも引用したとおり、中期的には「政府債務が膨らみ続けると(国債の)国内消化にも限界が訪れ」、「海外投資家が政府債務の規模に応じた高い財政リスクプレミアムを要求すれば、金利が急騰し、日本が財政危機に陥る危険性がある」と既に指摘されている (日本経済研究センター)。

 日本銀行は昨日(12月20日)の金融政策決定会合で金融緩和の強化(10兆円の基金増額)と1月決定会合での物価目標の検討を決定した。新政権と協調したデフレ脱却に向けた大胆な取り組みが、今後、財政規律の低下を助長する結果になれば、長期金利急騰の時期を早める可能性があろう。

 こうした長期金利高騰による財政破綻シナリオのリスクを軽減する道は、補正予算等当面の経済対策で消費税増税を予定通り行うための環境を整えると共に規制緩和、通商政策等成長戦略や既得権に踏み込む歳出削減策等政策の全体像と工程表を明確にし、そして早期に具体的な成果を出していくことで市場の信頼を確保し続けることだ。

 そして企業経営者にとって金利急騰リスクから自らの企業と財産を守るための心構えをしておく必要性は、解散前3党合意の出来た頃に比べ確実に高まっていると考えるべきだと思う。



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