わたしの意見 ― 水野 創

わたしの意見 ― 水野 創

黒田日銀でも変わらないこと

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」3月22日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 3月20日、日銀に黒田新総裁が就任した。初めての営業日である昨21日夕方には記者会見に臨んだ。これから5年間、新体制での金融政策がいよいよ本番となる。

 新総裁は会見でも、「質・量の両面で大胆な緩和」、「2年程度で目標達成」、「資産価格にバブル懸念ない」、長期金利上昇リスクに「今すぐそうなるとは考えていない」などこれまでとの変化を印象付ける表現が相次いだと報じられている。

 一方で、黒田日銀でも変わらない点がある。民間エコノミストの見通しと比べ高めの物価水準の実現を目指している点だ。4月末に予定される新体制下の2013年度、2014年度の初の経済見通しで、特に2年目になる2014年度の物価見通しをどの程度の水準に設定するか注目したい。

 従来の日銀見通しは消費税増税分を除き1%弱、現状の民間予測は若干のプラスである。これまで以上の高めの見通し設定となれば、今後の展開次第では早い時期での新日銀に対する信認低下につながる。また、その実現にこだわり無理な政策を続けると一部資産のバブル拡大と将来のバブル崩壊の振れと影響を大きくするリスクを高める。

 これからの5年に向けた物価を取り巻く環境は、これまでに比べ改善している。

@ 超円高の是正に向け振り子が振れていること(貿易収支の赤字定着)。
A 海外経済がバブルの後遺症から徐々に脱し、成長率を高める見通しにあること。
B 安倍政権がTPP参加等超円高以外の6重苦対策にも取り組み始めているほか、賃金にも配慮するなど、今後は、成長戦略の成果も期待できること。

 こうした環境を活かし、金融政策だけでなく、アベノミクスの3本の矢全体でデフレから脱却していく考え方と取り組みが強く望まれる。

 なお、最近の円安による輸入物価上昇や公共事業の執行の遅れを懸念する声は多いが、2013年度は通してみれば、多くの企業経営者にとって前年よりよい年となると思う。その間に、2014年度以降のリスクに備え自社を守るための体制固めをしておきたい。



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