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わたしの意見 ― 水野 創

冴えなかった昨年度の二の舞は防ぎたい−勢いのない経済指標

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2015年9月11日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 

 日銀黒田総裁は8月下旬の講演で昨年度経済のパフォーマンスについて「冴えないものであったことは否めません」と評価している(26日、ジャパン・ソサエティNY)。

  そのうえで総裁は、本年度について、「過去最高水準の企業収益と設備投資スタンスの前傾化」、「完全雇用と賃金・物価の循環的な上昇」というデフレ期には見られなかった事実が着実に進行していると強調している。

  しかし、その後発表されている経済指標をみると、4〜6月の実質GDP統計をはじめ、7月以降の実績についても期待を下回るものが多く、これを見てエコノミストの経済予測も下方修正が続いている(表1)。

 

 このように、4月以降も期待通りの展開とならない背景は、以下のように整理できると思う。

@アベノミクスの効果波及の地域別、業種別、企業規模別の格差は引き続き縮小していない。

A北陸新幹線の延伸、海外からの観光客の急増や爆買いなど元気のよい個別の動きはあっても、元気を取り戻していない企業・部門の影響で全体を集計した統計では元気の良さが打ち消されてしまう。

Bこうした状況を見て、相対的に元気のよい企業を含め、国内での投資や賃金引き上げに慎重になっている。

C最近の海外景気の減速や市場の乱高下(表2)による今後の影響も心配される。

 

 最近の2020年オリンピック、パラリンピックを巡る混乱や、東芝の会計処理問題など日本の統治能力の劣化を感じさせる事件の多さも元気を削いでいる。

  来週9月14日、15日に日銀政策決定会合が開催される。適切なメッセージと政策対応を期待したい。このままでは昨年度の二の舞となるリスクが高まっていると思う。

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