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わたしの意見 ― 水野 創

日本の非製造業の労働生産性が低い理由は?業種特性と経営戦略

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2018年10月18日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 

 千葉県生産性本部主催のシンポジウムに総合コーディネーターとして参加した(11日)。今年は「生産性の高い魅力ある職場づくりを目指して〜労働生産性向上と働き方革新の実現に向けた取り組み〜」と題して日本生産性本部の分析と県内企業の事例紹介を中心に議論を進めた。

 特に印象に残った点をご紹介したい。

 これまで、非製造業の労働生産性の低さは、宿泊の週末、GWと平日の稼働率の振れに代表される需要変動の大きさに対し、在庫も持てず、パートを活用するにしても労働量の調整にも限度があるなど供給側の対応の難しさが主因と理解していた。この場合対応策は休日・休暇制度の見直しや外国人客取り込みによる稼働率上昇などとなる。

 これに対し、今回の分析では、同一業種の中でも、顧客満足度が高いにもかかわらず労働生産性が低い企業群が存在することが示された。顧客満足度の高い企業は本来付加価値を拡大し労働生産性を上昇させることが出来るにもかかわらず、低価格によるシェア・売り上げ拡大戦略をとっていることになり、これが業界の平均値押し下げにもつながる。この場合、人手不足で処遇改善が必要になった際の戦略が今後のポイントとなる。

 次に、労働生産性引き上げの要諦は、営業担当が実際に営業に当たる時間をいかに長くするか、それ以外の時間をいかに短くするかであるという企業からの指摘である。直行直帰、サテライトオフィス、リモートアクセス、後方事務の分離さらにはお客様からのクレーム処理は上司が引き受けるといったそのための様々な対応が示された。思い切った初期投資や制度見直しが必要であるが、数値化された成果は確かに大きかった。また、ダイバーシティの推進について、実際に産休・育休を経験した女性が採用担当となり大きな成果を上げているとの紹介もあった。

 こうした分析や実例が今後の生産性向上、働き方改革に生きるよう願っている。

 今回のシンポジウムの模様はマネジメントスクエア来年1月号に掲載する予定です。



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