点描 ― 前田 栄治

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点描 ― 前田 栄治

新型コロナ後の新常態とは─千葉県の役割


「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2020年7月21日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 

 ニューノーマル、あるいは新常態との表現をよく目にするようになった。新型コロナウイルス感染症の拡大は、生活様式や経済にとって大きなショックであり、それらを恒常的、長期的に変化させ得るというイメージから使われているのだろう。


 私の知る限り「ニューノーマル」という言葉が頻繁に使われるようになったのは、2008年のリーマンショック後である。それ以前の世界的な高成長経済やバブル的金融活動は持続可能ではなかった、との認識がベースとなった。「新常態」は、2014年に中国の習近平が使い、広まった言葉である。それまでの二桁という超高速成長に戻ることは難しく、持続可能な成長は中高速程度であり、それを実現するためにも経済構造転換とイノベーションが必要という意味合いで使われた。「漢字に当てはめると、こう言うのか」と、感心したことを覚えている。


 それでは、新型コロナ後の新常態をどう考えるか。生活様式や経済は恒常的、長期的に変わるのか。歴史的にみて、いずれの感染症も何らかの形で克服されている。新型コロナについても、ワクチンや治療薬の開発などによって、人々が気にしなくてよい日がいつか訪れるだろう。そうであれば、経済について、成長の原動力となってきた@グローバル化、Aサービス化、B都市・産業集積という、方向性自体が根本的に変わるとまでは思えない。日本では、長い目でみれば、インバウンド拡大や「首都圏」への人口流入が維持されるとみている。


 しかし、新型コロナのショックは、少なくとも短期的には甚大である。いずれコロナが克服されたとしても、今回のショックを機に変化していくものもある。世界的に、@有用性が確認されたデジタル化、A澄んだ大気や海を取り戻した経験も踏まえた環境重視の動き、等が加速するのではないか。B国際関係では、米国の地位低下や中国と米欧の対立激化などが指摘される。コロナ克服に時間がかかればかかるほど、様々な変化が定着していく可能性が高くなる。


 日本では、コロナの克服時期に関係なく、今回の危機をバネとして、従来からの諸課題に取り組む必要がある


 第一に、新たな感染症や自然災害なども意識した、リスク管理の高度化第二に、テレワークを含むデジタル化をはじめ、日本が遅れていたとされる分野における改革。前者のリスク管理にはコストがかかるため、同時に後者の取り組みで、働き手不足への対応を含め、生産性向上を加速していく必要がある。企業は、コロナ危機を仕事や業務の見直しのきっかけにしたいところだ。第三に、デジタル化を活用した「適度な分散」による、「東京都」一極集中の是正。この点、首都圏にあり高度な都市機能を兼ね備えながら、豊富なスペースを有し東京都集中の緩和に貢献できる千葉県の役割は、一段と重要になっていくはずである。


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