わたしの意見-
水野 創

「首都圏空港」新時代に

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(本稿は、時事通信社発行の「金融財政ビジネス」11月11日号巻頭言に掲載されたものです)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 羽田空港の国際化がスタートした。10月21日にD滑走路と新国際線ターミナルがオープンし、同月末には国際定期便の一番機が飛んだ。

 羽田空港国際化の華やかな宣伝・報道の陰に隠れがちだが、成田空港も既に能力アップを実現させている。昨年10月にB滑走路の延伸が完成、さらに今年3月には年間の発着枠が20万回から22万回に引き上げられた。7月には成田スカイアクセスも開業した。私は夏休みに上野から乗車したが、日暮里駅で満員になった車内では多くの外国語が飛び交っていた。そして、成田空港の7~9月の発着回数は、景気回復もあって1日平均それぞれ545回、548回、552回と、リーマンショック前のピーク時の数字(2008年7月の536回)を更新した。

 成田空港の年間発着枠は、10月13日の国と地元の合意により、今後数年間で30万回と3月までの1.5倍に、成田・羽田両空港の国際線の合計では、成田空港の国内線を現在並みとすると37万回と約2倍に、それぞれ大幅に拡大することになる。両空港を一体とした「首都圏空港」と考えると、一連の能力アップの意義は一段と明確になる。まさに「首都圏空港」新時代の幕開けであり、大きなビジネスチャンスである。

 加えて、6月に閣議決定された「新成長戦略」のうち「徹底したオープンスカイ(航空自由化)の推進」「訪日外国人3000万人プログラム」など多くの国家プロジェクトは、その実現と国際空港の充実が不可分の関係にある。3000万人は最近の実績の約4倍である。ビジネスチャンスはさらに大きく拡大する。

 関係するそれぞれの主体がビジネス、観光、トランジット、貨物などの内外のニーズ、格安航空会社(LCC)の新規参入、ビジネスジェットの普及など環境変化を評価した上で、業務拡大や新ビジネスに挑戦しており、こうした動きはさらに加速していくと思う。当社も地域のシンクタンクとして貢献していきたいと考えている。

 こうした中、民間部門が安心して投資・雇用を行うためには、新成長戦略で新制度や規制緩和の具体的内容と行程表を早期に明確化させることが重要である。法律改正を要するものも多いと思う。政治のリーダーシップに期待したい。

 羽田・成田両空港の能力アップとアクセス網の整備により利便性が高まった

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