Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

千葉県の外国人(1)─人口の動向

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2024年7月25日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 成田空港における外国人入国者数は6月にコロナ禍前に比べ25%増えるなど、インバウンド目的の外国人は大きく増加。同時に、外国人居住者も着実に増えているので、千葉県の現状について説明したい。

 千葉県における在留外国人は、23年12月末時点で20万4千人と県人口の3.3%(図表1)。5年前の18年末には15万6千人、2.5%であったので、コロナ禍に多少減少したあと、かなり増えたことになる。

 千葉県の外国人人口比率3.3%は、全国の2.7%を上回り7位(図表2)。東京都が4.7%と最も高く、愛知県や群馬県など自動車製造県が続く。千葉県は同じ東京圏の埼玉県(3.2%)や神奈川県(2.9%)をも上回っており、主要な外国人県と言える。

 在留外国人を国籍別にみると、千葉県におけるトップ5は中国、ベトナム、フィリピン、韓国、ネパール(図表3)。全国との比較では、中国が多い一方、韓国、ブラジルなどが少ないのが特徴だ。過去5年で増加が目立つのは、トップ5のベトナム(+77%)、ネパール(+93%)のほか、インドネシア(3.1倍)、ミャンマー(3.5倍)も大きく増えトップ10入りしており、国籍が多様化。

 市町村別には、富里市や成田市などの外国人比率がとくに高く、成田空港関連の従事者が中心とみられる。銚子市や山武市などの地方部でも高い自治体があり、人口減少のもとでの働き手となっている可能性。また、松戸市や市川市もトップ10に位置するが、勤務地である東京都への隣接地であることが影響していそうだ。

 ちばぎん総研の人口推計によると、千葉県の外国人比率は50年に7%、70年に11%まで高まる予測。米国や英国では移民比率が現状15%程度とされるので、それに近いレベルとなっていく。県全体として、多様性を受入れる環境整備とともに、それを県の発展に活かしていくという意識がより重要となる。

 外国人労働者の動向については、別の機会に採り上げることとしたい。

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