わたしの意見-
水野 創

上方修正?伸び悩み?公表文と記者会見

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」11月1日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 昨31日決定された日銀展望レポートの実質成長率見通しは、2013年度小幅下方修正、2014年度小幅上方修正で「概ね不変」とされた。黒田総裁の記者会見では2014年度の上方修正が話題になったようだ。一方、先週24日の政府の月例経済報告では輸出の基調判断が下方修正され、甘利大臣の記者会見では、株価の停滞から「個人消費の増勢にこのところ一服感がみられる」とも指摘された。

 アベノミクスの効果は続いているものの足元の勢いは落ちているため、正式決定された公表文や記者会見での発言の差が目につく。

 11月17日で安倍首相の「日銀の建設国債引受」発言から1年経つ。閉塞感は吹き飛ばされたが、オリンピック招致で当面これ以上の発奮材料を見つけるのは当面難しい。国会の議論も安全保障等経済以外が主役になっている。米国の政治リスクは年明け後も続く。

 これらにより生じる不透明感や不満を抑えて「期待」を維持するため、それぞれの立場で意図的に公表文から踏み込んだ発言をして市場の反応を確かめているのだろう。

 全国は以上の通りとして千葉県ではどうだろう。

 月例経済報告と同じ24日に千葉経済センターが公表した県内企業のBSI調査は前期比改善しているが、個別にみると輸出関連や輸入原材料高の影響を受ける業種では前回比悪化している。また、同時に調査したアベノミクスの効果については前回調査を下回る結果にとどまった。方向は全国と同じだろう。アンケート調査は正直だと改めて感じた。

 流れを見誤らないようにしたい。

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