わたしの意見-
水野 創

自然減、社会増が拡大する千葉県人口動態

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」3月5日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 千葉県の2月1日現在の人口、1月の人口動態が発表された(2月27日)。

 6197千人、前年比+0.1%、前月比▲1024人(前年▲952人)で、グラフの通り、最近の動きは東日本大震災前の2010年の動きと似た動きになっている(2010年2月比では約11千人の増加)。

 もっとも1月中の人口動態は、2015年と2010年で大きな差がある(表1)。

 すなわち、2015年は自然増減の2072人の減少を1048人の社会増減の増加で補っている。これに対し2010年は(前月比▲773人)、自然増減は526人の減少に止まっていたが、社会増減も247人減少していた。

 月次の計数なので振れはあろうが、以下の点が確認できる。

 ①少子高齢化の進展で自然増減の減少幅が確実に拡大していること。

 ②転入超過には、東日本大震災の影響の克服と共に、2020年東京オリンピック、パラリンピック開催決定以降の東京圏への人口一極集中の強まりも背景となっていること。

 ③1月中の社会増減の増加の多い5市は、船橋、松戸、市川、流山、柏市でいずれも3桁の増加であること(表2)。一方、2010年は鎌ケ谷、柏市、木更津市、白井市、野田市で3桁の増加は2市のみであった。社会増減が大きい市とその増加幅は、交通インフラ整備(新線、新駅効果、料金引き下げなど)とまちづくり(各種再開発、駅前開発、子育て支援など)などを反映して変化している。なお、社会増減が減少となっている市の減少幅も2010年の最大3桁(201人)から今年は2桁(76人)に縮小している。

 今後、自然増減の減少幅は一段と増加していく。各地域は「地方創生」も活用し地域間競争に勝ち抜く努力を続けなくてはならない。4月に行われる統一地方選挙で、この地域間競争に各自治体がどのような体制で取り組むかが決まる。自治体と市民、経済界、大学等との連携はもとより、広域での競争力強化を実現するリーダーシップも発揮できる体制が整うよう期待したい。

 

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