わたしの意見-
水野 創

期待の2015年度がスタート

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」4月2日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 

 2015年度がスタートした。

 2014年度のマイナス成長(実質)からの回復が期待される年度だ(図表1)。もっとも、昨日発表された短観の業況判断は、アベノミクスの効果を最も享受しているはずの大企業製造業でも前回調査比横ばいで、むしろ慎重と評価された。また、米国金融政策や各種経済指標を材料に株式、長期金利(債券)等市場の振れも引き続き大きい(図表2)。

 現時点で、回復の勢いを確信できないのにはいくつかの理由がある。①10-12月実質GDP統計等公表されている実績が弱い。原油価格低下の影響で消費者物価上昇率も低下、デフレ脱却の時期が一段と不明確になっている。②アベノミクスの効果波及が部門別、業種別、規模別、地域別に異なっている。③中期的な成長戦略、財政再建の道筋が明確でない、などである。

 しかし、米国景気回復、原油価格低下・企業業績改善とその家計部門への波及、消費税引き上げの影響の一巡、経済対策の効果など、効果発揮のタイミングやその大きさに諸説あるにしても2015年度が成長の勢いを回復する年度となる期待を覆す要因はない。

 ①短観の2015年度経営計画の前提となっている為替相場は111円/ドルで14年度下期の水準と横ばいにおいている。これまで同様、今後計画は上方修正させるだろう。

 ②足許の経済は外国人客の賑わい、高額商品販売、商品・サービス価格引き上げの動き(一部はすでに実現)等徐々に回復の兆候を示している。

 ③千葉県の人口も前年比増加幅を拡大している(図表3)。

 2015年度が中長期的なリスクに備え、体力をつける年度となることを改めて強調しておきたい。

 

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