わたしの意見-
水野 創

スーパーのデフレ脱却、2度目の挑戦

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2015年4月16日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 

 4月入り後のスーパーでは多くの商品が値上げされている。「価格」が上がっていたり、「容量」が少なくなっていたり様々な手法が工夫されている。デフレ脱却に向け、一年前に続く2度目の挑戦だ。

 スーパーでは、昨年も、消費税引き上げと同時に多くの商品の価格が引き上げられたが、その後夏場までに全体としては下落基調に転じてしまった(図)。天候不順、消費税引き上げを含む物価上昇に所得の伸びが追いつかなかったこと、消費者の節約に我慢しきれず米や飲料など売り手側が価格競争に走ったことなどがその主因だった。

 2度目となる今年はどうだろう。環境は確かに改善している。①企業部門の好調持続から所得環境は改善している、資産効果も続く。②原油価格の下落に加え、消費税引き上げの影響一巡もあって税込みで見た物価が落ち着いてくることなどである。

 ただ、昨年の学習効果で消費者はこれまで以上に賢くなり、「値上げされても、暫く我慢していれば必ずセールがある」と信じているのも確かだ。

 こうしたデフレ観を「待っていてもこれ以上安くならない」というところまで変化させるには昨年以上に価格上昇が定着していくことが必要だろう。

 それを従来通りの商品・サービスだけで実現するのは難しい。売り手側が消費者の待ちに対し、値下げ競争でなく、希望価格で販売できる魅力ある新製品をどのくらい提供できるかにかかっていると思う。
ここに来てスーパーのPOSデータにより作成される東大日次物価指数も、徐々に前年比マイナス幅を縮小しているようにも見える。

 アベノミクス第2段階でイノベーションも進んでいる。今度こそ、この分野でも企業の投資・収益増加と賃金・購買力増加の好循環を実現できるとよいと思う。

 

●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。