わたしの意見-
水野 創

市場は大荒れだが、産業構造の変化にも目を

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2015年9月3日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 各国株式市場の乱高下が続いている(表1)。

 先週後半、いったん落ち着くかに見えたが、実際に落ち着いたわけではなく、荒れた相場の一局面に過ぎなかった。投資家心理を考えると、米国金融政策が実際に変更され、中国経済の悪さと景気対策が明確になるまで、相当な期間にわたりこうした状況が続く可能性が高まったように思う。

 動揺が長引けば、中国経済減速による影響に加え、資産効果の減少や企業収益の悪化を通じた実体経済への影響の覚悟も必要になる。心理的動揺を少しでも和らげるための、各国政策当局の適切な対応と情報発信に期待したい。

 さて、こうした目先の話題と共に、今回は、中期的な環境変化についても触れておきたい。

 千葉銀行はこのほど地方創生に関するレポートを発表し、セミナーを開催した(8月27日)。セミナーでは私も「地方創生と千葉県経済」と題し、千葉県経済が地方創生を活用しどのような課題に取り組む必要があるか話をした。

 ①地方創生は地方の人口減少対策として打ち出されたが、各地では産業構造も大きく変化している(表2)。

 ②千葉県でも全国でも、グローバル競争の激化、リーマンショック後の超円高、公共事業減少、高齢化等を映じて、製造業、建設業などが縮小する一方、医療・福祉が拡大している。医療・福祉の拡大はアベノミクス後も顕著だ。

 ③今後一層の高齢化が進む地域を、少ない人口で持続していくためには、それぞれの地域が実情に応じ、健康で暮らしやすいまちづくりを行うと共に、生産性を高めるための人材育成、産業の変革が必要になる。各地はこうした機会として地方創生に取り組むべきだ。

 なお、レポートは9月末を目途にHPに掲載予定、また、セミナーの概要はマネジメントスクエア11月号に掲載予定です。

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