わたしの意見-
水野 創
千葉県人口の転換点
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2018年4月27日号に掲載)
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]
現在増加を続けている千葉県の人口も、いずれ減少に転じる。転換点について確認しておこう。
人口の増減は自然増減(出生―死亡)と社会増減(転入―転出)の合計で決まる。千葉県も自然増減は既に減少に転じ、減少幅も年々拡大しているが、現状、社会増減の増加がこれを補っている。
社会増減は、経済情勢や交通インフラの整備等により振れがある。東日本大震災の後、液状化や風評被害で一時減少に転じた時期もあったが、2020オリパラ決定以降は首都圏一極集中の強まりで高水準の増加が続いている。地価の相対的な安さ、流山の子育て支援や地方創生の効果も後押し要因だ。
成田空港機能拡張(オリパラまでの時間延長、将来のC滑走路)や圏央道の県内全線開通(2024年)などを展望し、今後も年間2万人強の社会増が続くと想定される。一方、今の傾向で自然減が増加した場合、▲2万人に達するのは2020年代前半になる可能性が強い。このころが自然減が社会増を上回る転換点となるわけだ。この時期次第で5年毎の国勢調査で見た人口のピーク時期も決まる。
5年毎の将来人口推計は、ここ数回、作業のたびに上方修正されてきた。今後の子育て世代の転入継続、地方創生の効果発揮などにより、転換点がさらに後ろ倒しされることもあろう。各自治体や経営者の手腕の発揮、地域住民の協働の動きにかかっている。
なお、毎年の人口は、悉皆調査の国勢調査の結果にその後の届出(出生、転入等)を加減して推計される。届出の有無、悉皆調査の精度により、5年間の加減の累積と次の国勢調査の結果とは差が生じうる。最近2回は増加要因になったが、過去には逆のこともある。
最後は神頼みのような話だが、地域の勢いを信じたい。
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