わたしの意見-
水野 創

消費は回復確認と新たな課題―4~6月GDP2次速報  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2017年9月14日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 2017年4~6月実質GDPの2次速報が発表された(8日、表1)。先月(8月14日)公表された1次速報に比べ設備投資が大きく下方修正され、実質GDP全体の伸びも小幅になった。

 この間、個人消費は1次速報並みの高い伸びを前年比でも季節調整済み前期比でも維持している。個人消費の環境を見ても、生活実感に近い名目の雇用者報酬は上方修正された。1次速報では低下していた労働分配率も、上方修正された前期(1~3月1次50.0)比横ばいとなった(表2)。

 もっとも、1次速報で反転上昇の印象が強かった消費性向は、前期(1~3月)が下方修正されたうえ(1次112.2)、4~6月は112.0とその水準をも下回ったため、底を打ったことは間違いないが力強さは今一つという印象となった。

 現在進行中の7~9月期については、天候要因による好調不調はあるが、所得環境の改善、株価回復、耐久財の買い替え需要などにより消費の基調は悪くない。2次速報と同日に発表された内閣府の「景気ウオッチャー調査」では7,8月平均の家計の現状判断は4~6月比改善し(季節調整値47.3→48.0)、8月の先行き判断も上昇している(同、前月差+1.3)。

 今回振れた消費性向の今後の動向に注目するとともに、最近の好調な企業業績を反映した今後の賞与の増加などによる消費増加から、消費関連中小企業の業績改善につながる好循環が実現するよう期待したい。

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