Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

千葉県企業は25年の業況に相応の自信

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2025年2月14日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 今週公表された「千葉県企業経営動向調査」(ひまわりベンチャー育成基金<総研が受託し、12月~1月前半に実施>)の特別調査によると、25年の国内景気に対してやや慎重な見方の一方、企業景気(業況)には相応の自信を持っていることがみてとれる。

 まず25年の国内景気見通しをみると(表1)、好転が21.9%に対し悪化が26.0%と悪化が好転を幾分上回り、やや慎重な見通し。これは、好転(29.1%)が悪化(19.9%)を上回った24年初の調査に比べて慎重な見通し。今回はトランプ大統領誕生の影響についても調査したところ、「影響なし」(65%)が大半だが、「マイナスの影響」(29%)が「プラスの影響」(6%)を上回った。こうしたトランプ政権の政策運営などに起因する国内外の先行き不透明感が、慎重な国内景気見通しに表れている可能性がある。

 一方、自社の企業景気(業況)見通しでは(表2)、好転が24.2%と悪化の22.4%を幾分上回った。24年初の調査ではそれぞれ26.1%、24.1%であったため、好転超は今年も昨年も2%ポイント程度でほぼ同じ。この間、今年は横ばいが53.4%と昨年の49.7%を上回っており、昨年に比べると企業経営が総じて安定するとの見方が多いようだ。

 25年の期待材料をみると(表3)、トップの「消費拡大」に続き「販売価格上昇」が2位に位置し、昨年より大きく増加。コスト高の価格転嫁がそれなりに進む方向にあることが窺われる。このほか、「公共・設備投資拡大」や「政府の経済対策」も昨年からはっきり増加し、少数与党のもとでの財政支出拡大の可能性が意識されているようだ。

 一方の懸念材料については、「コスト上昇」や「人手不足」が1、2位で「消費低迷」が3位。消費については期待・懸念の双方で上位にある。賃金・株価上昇と物価上昇の影響が家計により異なることを反映して、消費の見方にバラツキが表れているようだ。

 以上の結果は、千葉県企業が25年について、トランプ政権の政策運営への懸念などから国内景気全体にはやや不安を感じつつも、自社景気については価格転嫁が進み始めていることなどから相応の自信を持っていることを、示唆しているものと考えられる。

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