Business Letter
「点描」
社長 前田栄治
企業景気は良好さを維持しているが──日銀3月短観
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2025年4月1日号に掲載)
前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]
本日(4/1日)、日銀短観3月調査が公表された。
業況判断(表1)は全規模・全産業で+15と、前回から変わらず良好な水準を維持。

業種・規模別にみると、製造業では大企業が「良い」超を小幅縮小する一方、中小企業は僅かに改善。米トランプ大統領が25%関税を決めた鉄鋼の悪化が目立つことから、同関税の影響も考えられる。ただ、調査時点は自動車を含め幅広い関税導入が正式発表される前の3月上中旬が中心であるため、製造業全体としてはトランプ関税の影響が明確には表れていないとみておいた方がよい。
非製造業については、大企業がさらに小幅改善(約35年振りの高水準)、中小企業が不変で、大企業中心に大幅な「良い」超。幅広い業種において良好な水準だが、特に大企業の不動産、情報サービス、宿泊・飲食サービスなどが強い。
今回はじめて25年度分が示された事業計画は、設備投資が増加傾向を維持するなど、企業は積極的な姿勢を維持。
全規模・全産業ベースでみると(表2)、売上・収益については、24年度が上方修正され4年連続の増収・増益、25年度は売上が小幅増加、収益は小幅減少だが高水準の計画。そのもとで、ソフトウエア・研究開発を含む設備投資は、24年度に4年連続の増加となったあと、25年度も増加の計画。24年度の当初計画との比較では、売上・収益・設備投資ともに概ね同様の姿。

今回の短観結果は、日本全体としてみれば、これまでのところ経済の前向きのモメンタムが維持され、企業も積極的な姿勢を堅持していることを示すもの。
ただ、ここにきて次々と打ち出しているトランプの関税政策の影響は、今回の調査結果に十分織り込まれていない。トランプ関税はディールの材料との見方が多かったが、最近はトランプが「短期的には痛みだが長期的にはプラス」などと発言しており、高い関税率や関税を巡る不確実性が長引く可能性も高まっている。明日公表予定の相互関税を含め、トランプ関税がどう展開し、世界・日本の経済や企業経営にどう影響するか注意深くみていく必要がある。
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