Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

外国人雇用の動向

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2025年9月12日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 千葉経済センターは昨日(9/11日)、「千葉県における外国人雇用の動向」と題する調査レポートを公表(ちばぎん総研が調査・分析を担当)。千葉県でも外国人労働者の存在感が高まっていることを踏まえ、取り纏めたものだ。

 調査結果のポイントは以下のとおり。

  • 千葉県の雇用における外国人比率は24年で2.7%と全国19番目(表)。同比率は、非常に高い東京都や幾つかの自動車関連地域を含む全国平均(3.4%)に比べれば低いが、過去10年の上昇テンポは速い。
  • 産業別には、深刻な人手不足が続く建設業や運輸・郵便業での増加が全国に比べ顕著。また、外国人比率は食料品製造業(17.1%)が突出し、全国(10.9%)に比べても非常に高い。
  • 地域別の外国人比率をみると、成田空港周辺エリア(4.7%)や銚子・館山エリア(4.5%)で高め。前者は空港関連、後者は水産加工業が多いことが影響。
  • 先行きは全国を上回るペースで増加する可能性が高い。これは、①県内で存在感の大きい産業(建設、運輸、空港関連など)の受入れ上限数が引き上げられたこと、②育成就労制度への移行を見据えると外国人が好待遇の首都圏企業に集まりやすくなること、などが背景。
  • 企業アンケートによると、4割が外国人雇用に前向き。外国人へのサポート体制は充実の方向にあるが、特段のサポートがないとする企業も3割存在。課題は「言語・コミュニケーション不足」が引き続き最大だが、「離職・転職への懸念」などが増加していることも特徴。
  • 自治体アンケートでは、外国人住民の専門窓口部署を設ける自治体は増えているが、3割にとどまる。共生に向けた取組みも拡がってはいるが、企業や周辺自治体との連携は2割未満。

 レポートでは以上を踏まえ、企業に対して、外国人材を単なる労働力ではなく企業成長を支える重要なパートナーとして捉えることなどを、自治体に対しては、地域における企業サポート体制の強化や多文化共生の促進などを提言。その上で、地域一体となって外国人が働きやすく暮らしやすい環境整備を進めることの重要性を指摘している。

 レポートはアンケート結果を含め詳細に解説し、県内企業の成功事例も掲載しているので、ご関心のある方には是非お読みいただきたいと思う。

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