Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

千葉国際芸術祭2025

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2025年10月15日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 26年の千葉開府900年の節目に合わせ、千葉市では25年度より「千葉開府900年記念事業」をスタート。そのシンボル的事業の一つである「千葉国際芸術祭2025」は、9月19日~11月24日を集中展示・発表期間として開催されている。

 この芸術祭はアートを通して街の魅力を高めることを目的に、トリエンナーレ(3年に1度の開催)を予定しており、いちはらアート×ミックスや瀬戸内国際芸術祭などと同様の方式である。

 初回となる25年度は総合ディレクターに東京藝術大学教授の中村政人氏を迎え、「ちから、ひらく。」をコンセプトに国内外のアーティスト32組が参加。応募が寄せられた国外597組、国内39組から選ばれたアーティストだ。

 「ちから、ひらく。」は、千葉の「地」からもの・こと・ひとを拓く、多様な「ち」(千葉、地、力、知、宙、超、智…etc.)から創造活動を始める、千葉の人々の「ちから」が開花するといった、芸術祭で実現したい複数の夢を込めたもののようだ。

 アートは、千葉駅周辺、市場町・亥鼻、千葉市役所周辺、西千葉、千葉公園周辺、海浜の6エリアで展開。私も、千葉駅や市役所周辺、西千葉エリアで、約10のアートを鑑賞した。

 アートの評価は、個人の嗜好にも左右されるが、私自身の感想を言えば、「これがアート?」といったものもあったものの、興味深いものも少なくなかった。後者は、例えば、市役所で展示された「脱皮的彫刻」という、神谷市長や千葉テレビの青柳社長ほかをそれぞれ石膏で固め、その抜け殻を展示したもの。千葉駅周辺で展示される、11の「ち」型モニュメント「ちから、ちへ」、集めた古いおもちゃで制作した「33年後のかえる」、鑑賞者自身の紐をつなぐ作業による「STATION to STATION」なども興味深かった。

 本展の特徴の一つは、主催者側も主張するように、市民とアーティストが一緒にプロジェクトを行う「市民参加型」であること。中村総合ディレクターも、「市民に自分たちの芸術祭という当事者意識を醸成していただき、地域の文化基盤を厚くしていきたい」と語る。 私が感じたもう一つの特徴は、千葉市「街探し」の良い機会になること。多くのアートは、分かりにくい場所に展示されており、歩きながら発見するものとなっている。5年前まで千葉に縁がなかった私のような者にとっては、ポートタワーやモノレール駅、西千葉駅周辺の高架下など初めて訪れる場所も多く、千葉市の隅々を知るきっかけになった。

 まだこれから1か月以上開催される。千葉市民はもちろんのこと、千葉市以外の方々にも多くのアートを肌で感じていただきたいと思う。

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