Business Letter
「点描」
社長 前田栄治
「成田『第2の開港』」─生産性本部シンポジウム
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2025年11月5日号に掲載)
前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]
10月下旬、千葉県生産性本部主催の「成田『第2の開港』~成田だけ・空港だけの話じゃありません~」をテーマとするシンポジウムが開催された。
昨年夏に当時の岸田総理が成田空港を核とした産業拠点形成を「国家プロジェクト」として取り組む必要があると発言、今夏には国家戦略特区が千葉県全域に拡大され、空港に隣接する圏央道の千葉県区域が26年度中に開通する。プロジェクトの効果は空港周辺のみならず県全域や首都圏にも及ぶと期待されており、本シンポジウムはその理解を深めるために開催されたものだ。
前半では、千葉県総合企画部・寒川成田空港政策課長、ザファーム・武田社長がそれぞれ事例を報告。後半は私が司会を務める形でパネルディスカッションを行った。
以下では印象に残った発言を挙げてみたい。
- 空港周辺で集積を目指す産業として、物流、精密機器、航空宇宙、健康医療、農業、観光を挙げるが、周辺にとどまらず県全域での発展を期待(寒川課長)。
- インバウンド客は宿泊期間が長く(最低2泊)、客が少ない平日に宿泊するというメリットがある。当社では現状の5%から10%に増やしていきたい(武田社長)。
- インバウンド客を千葉に惹きつける戦略が必要。外国人には忍者・富士山・秋葉原的なものが人気とされるが、千葉でも佐原・香取の街並みや内房から見る富士など素材はある。アキバ的なものとしては、アニメの聖地を発掘することも考えてはどうか(武田社長)。
- 航空宇宙については、まずは空港内での整備地区を発展させていく。海外の航空会社は整備のためにシンガポールを活用している状況なので、成田に持ってきたい(寒川課長)。
- 国家戦略特区は国際ビジネス拠点の形成に向けて規制改革を推進するもの。すでに航空物流にかかる外国人材の規制緩和を空港外にも適用することを手当て。民間からも規制緩和要望を受け付けるので、県の「ワンストップ窓口」にお問合せいただきたい(寒川課長)。
- 韓国の仁川空港のように周辺に輸出専用農園(イチゴなど)を整備するほか、高価格が設定しやすい海産物の輸出にも注力するべき(武田社長)。
- 空港周辺を中心に進出を検討している企業は、県の成田空港政策課やNRTエリアデザインセンターにお問合せいただきたい(寒川課長)。
シンポジウムの詳しい内容は当社のマネジメントスクエアに掲載予定(来年1月号)であり、皆さまに参考にしていただければ幸いである。
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