Business Letter
「点描」
社長 前田栄治
中小企業のデジタル化・AI活用推進─ちばぎんセミナー
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2025年11月12日号に掲載)
前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]
ちばぎん総合研究所と千葉銀行は11/7日、「中小企業におけるデジタル化及びAI活用推進セミナー」を開催した。会場とオンラインを合わせ150名近くの方々に参加いただいた。
第1部では、総研が「企業のデジタル化とAI活用」のレポートを報告したのち、千葉県内の先進的な取り組みをする企業2社(吉野機械製作所、協同水産流通)と2つの支援機関(産業振興センター、千葉銀行)が発表。第2部はトークセッション。特に印象に残った点は以下のとおり。
- 中小企業はデジタル化・AI活用を「自分ごと」にできていない。支援機関などが経営者の背中を押す必要(総研)。
- 企業は、デジタル化・AI活用に向けて、外部の支援機関を積極的に利用するべき(吉野機械、協同水産)。
- 企業のニーズや段階に応じて、必要となるセミナーや研修の内容が異なる。中小企業の伴走支援を意識し、無料サービスを提供(産業振興センター)。
- 企業の支援に際しては、「あるべき姿」(理想像)を押し付けるのではなく、その企業が直面する制約を考慮した「目指すべき姿」を描くことが重要。民間なので有料だが、コンサルを含めサービスを包括的に提供できるのが強み(千葉銀)。
- デジタル化に積極的に取り組んだのは、技術やノウハウがベテランに属人化していた状況を打破するため。デジタル化で「見える化」が進み、工数削減と人材育成が一気に加速。人口減少下で中小企業が生き残るためには、DX・AIが必須(吉野機械)。
- 社内DXの推進に取り組むきっかけは、業務データの集約に時間がかかり、状況把握や分析、情報共有が上手くいっていなかったこと。最初は簡単で効果を実感しやすいことから着手するのが良い(協同水産)。
- 中小企業がデジタル化やAI活用を進めるうえで最も重要なのは、経営者の推進力。AIは、パソコンやインターネットに匹敵する汎用技術で、非常に便利。乗り遅れた企業は負ける。中小企業は動きやすいので、試してダメなら乗り捨てればよい(吉野機械)。
- 社内DXを進めるうえでは、トップダウンと従業員の意識醸成とのバランスが大事。そのためには、DXの効果を会社全体に周知することが有効(協同水産)。
登壇者からは地に足の着いた、そして熱い思いがあふれる議論が展開された。セミナーの詳しい内容は、千葉銀行のYou Tube(近日アップ予定)や当社のマネジメントスクエア(来年2月号掲載予定)をご覧いただきたい。
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