Business Letter
「点描」
社長 前田栄治
企業景気は底堅いが先行きに慎重さも──日銀3月短観
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2026年4月1日号に掲載)
前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]
本日(4/1日)、日銀短観3月調査が公表された。イラン情勢の影響が懸念されたが、企業景気は総じて堅調。ただし、先行きにはやや慎重さもみられた。
業況判断の現状は、全規模・全産業で+18と前回と同じ良好な水準(表1)。ただし、先行きは+11、現状比▲7と通常より大きめの悪化(前回は▲5)。業種別には中小を中心とした非製造業、特に建設や宿泊・飲食サービスなどで悪化が目立つ。人手不足や仕入価格高への懸念が背景とみられる。

今回はじめて26年度分が示された事業計画は、企業の前向きな姿勢を示すもの。
全規模・全産業ベースでみると(表2)、売上・収益は、25年度が上方修正され5年連続の増収・増益、26年度は売上が小幅増、収益は小幅減だが高水準の計画。ソフトウエア・研究開発を含む設備投資は、26年度に6年連続となる増加の計画。25年度の当初計画と比べると、売上・収益・設備投資ともに同程度の計画。

企業の5年後のインフレ見通しは2.5%と、日銀の2%目標をかなり上回る(表3)。22年頃から明確に上がり始め、今回は12月調査(2.4%)に比べさらに幾分切り上がった。賃金の継続的上昇や、今回のイラン紛争によるコスト高などを踏まえて、インフレ予想がジワリと上昇しているようだ。

今回の短観結果は、少なくともイラン紛争前までは、企業は前向きな支出行動を堅持していたことを示すもの。イラン情勢については、先行きの業況悪化やコスト高への懸念という形で一定程度織り込まれているが、長期化・深刻化までは前提としていないように思われる。
原油の備蓄は相応にある一方で、ナフサを初めとした石油製品も中東等からの輸入依存度が小さくないため、石油由来製品の供給不足懸念が出始めていることは気になる。イラン情勢の展開は全く読めないが、長期化・深刻化することで、幅広いモノ不足やインフレ加速などにより企業経営に大きな影響が及ぶリスクも否定できない。紛争が短期で収束しても、中東の石油施設の損傷などによって、原油価格が紛争前の水準まで下がらない可能性も念頭に置いておきたい。
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