Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

地域資源としての文化・芸術

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2026年4月23日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 ひまわりベンチャー育成基金は3月、「千葉県の文化・芸術:地域資源としての現状と展望」と題する調査レポートを公表した(ちばぎん総研が調査・分析を担当)。
 国は文化・芸術の振興政策を拡充させてきており、2017年の文化芸術基本法では、地域の観光・まちづくり・産業などにも繋げていく考えを明示。千葉県でも、千葉県の地域発展や住民定着などに繋げていく趣旨から、2022年にスポーツ・文化局を新設。
 本調査は、そうした経緯も念頭におきつつ、千葉県における地域資源としての文化・芸術の現状と展望を整理・分析したものだ。その際、千葉県(千名)だけでなく東京都・神奈川県・埼玉県(計千名)の在住者も対象としたアンケートを実施。調査結果のポイントは以下のとおり。 

  • 千葉県、周辺都県ともに成田山新勝寺、犬吠埼灯台等の有形文化財への認知度が高い一方、美術・博物館、祭り、音楽・芸術祭などの認知度は低い。
  • 千葉県民の6割超が文化・芸術は「大切だと思う」とする。高関心者では9割程度、低関心者でも5割を超え、幅広い支持を得る。理由は「生活の潤い」や「教養の向上」など。
  • 「地域にプラスの影響を与える」とする割合も6割程度。主に「生きる楽しみ」や「地域への愛着」、「地域の活性化」の面でプラスとする。
  • 文化・芸術に高い関心を持つ者は、「地域への愛着」、「定住の意向」、「日常生活の充実感」などが強く、幸福度が高い。
  • 地域への愛着などの強さという傾向は、広く知られる有形文化財よりも、地域特有の美術・博物館、祭り、音楽・芸術祭で顕著。生活における接点の多さや住民同士の関わりの大切さなどが影響しているとみられる。
  • 文化・芸術が大切とする一方、県民が払う意向のある年間寄付額は500~1000円程度。別の調査で判明したスポーツへの寄付額1万円程度に比べるとかなり小さく、公共財として公的支援を期待する声が多い。
  • 以上を踏まえ、千葉県の文化・芸術について、①地域発展にとって大事な資源であり、掘り起こしの余地も大きい、一方で②公共財の性格を有するため、住民の主体的な関与や貢献が容易でない、従って③地域資源としての価値を高めるためには、住民の関与を促すような仕組みづくり、自治体が財政支援する場合の説得性などが大事、などと提言。

 ご関心のある方には是非お読みいただきたいと思う。

 

●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。