Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

高市政権の骨太方針2026:「責任ある積極財政」元年

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2026年7月23日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 7月21日、高市政権は「骨太方針2026」(経済財政運営と改革の基本方針)を公表。副題は「責任ある積極財政」元年─日本の挑戦を起動する!。当初から掲げる方針を具体化したものだ。

 経済財政運営の基本的考え方として、人口減少や安全保障環境の変化、国家間の産業・技術競争の激化など、日本は「歴史的な構造変化の中」にあり、社会経済の発展に向けて「従来の発想のままでは限界がある」との認識。また日本の成長力は、「長年にわたる未来への投資不足」によって低迷しており、「生産能力の不足にとどまらず、科学技術力、産業競争力、人材力といった質的基盤の弱体化」を伴ったものとの考えだ。

 こうした認識のもと、民間だけでは解決できない課題に対応し「日本列島を、強く豊かに」するため、「政府が一歩前に出て、官民手を携え、戦略分野への投資を進める」との方針を示す。

 2025年(石破政権)からの主な変化点を整理すると、以下のとおり。

(1)財政運営の考え方

  • 「まず財政再建」→「まず官民投資で成長し、結果として財政改善」
  • 単年度のプライマリーバランス黒字化→債務残高対GDP比率の安定的低下

(2)地域発展の考え方

  • 「地域の価値や楽しさ(地方創生2.0)」→「地域の産業発展(地域未来戦略)」
  • 地域未来戦略は産業クラスター形成と地場産業育成が両輪(7/21日付点描)

(3)予算編成の仕組み

  • 危機管理・成長投資のための「強く豊かな日本」投資枠の新設
  • 補正予算依存から脱却し、複数年度を見据えた大型投資を支援

 今回の骨太方針には期待と不安が入り混じる。日本の成長力強化にとって官民連携が重要であることは言うまでもない。一方、人手不足、円安、物価高という経済環境のもとで、積極財政がそれらを加速させるとともに、財政の健全性に疑義を生じさせるリスクもある。

 6月末に公表された原案では日銀に低金利を求めるように読める記述があり、その後の市場の警告を受けて修正したという、行き当たりばったり感も否めない。政府が戦略分野を適切に選択し、的確に投資していけるかという課題もある。

 強い経済を実現するという趣旨に全く異論はなくまずは「やってみなはれ」だが、民間企業や金融市場は政策効果を確り点検しながら、時として警告を出していくことも大事だろう。

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