わたしの意見-
水野 創

より明確になった羽田再国際化後の現実――平成22年12月の出入国管理統計

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」3月2日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 先週金曜日(2月25日)、法務省から12月の出入国統計が公表された。成田国際空港会社、ANA、JALの公表資料とあわせてみると、羽田再国際化後の現実が改めて確認された(11月分については1月27日発行の「㈱ちばぎん総研 Business Letter No.575」参照)。

 12月の特徴は以下のとおりである。

 (1)首都圏空港として両空港合計の計数を見ると、全国をやや上回る伸びにとどまり、全国に占めるシェア(59%)は変わっていない。
――両空港の実績には、成田から羽田へのシフトと成田のJAL等の減便(国際線旅客便は前年比5%減)が影響。なお、ANA,JALがそれぞれ公表した12月の国際線実績はそれぞれ431千人(前年比+19.0%、前年の羽田の定期チャーター便を加えた前年比は+1.9%)、618千人(同▲29.2%、グループ計)。

 (2)成田空港の国際ハブ機能の低下が顕著である。
――JAL等の減便によるネットワークの縮小が響き、国際線通過客は2ヶ月連続して2割近い落ち込み。

 羽田再国際化を活かし、首都圏空港としての実績を上げるためには、需要全体の拡大を図ることが必要である。観光客、ビジネス客にとって魅力的な国、地域、空港となることを目指すとともに、国際ハブ空港としてのブランド力を持つ成田空港の国際線ネットワークの再構築でも目に見えた成果が期待される。

●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。