わたしの意見-
水野 創
復興への道筋(7)――計画停電の原則不実施決定と今後の課題 その1
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」4月11日号に掲載)
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]
先週末(4月8日)、東京電力は「計画停電を原則実施しない」と発表した。
今回のシリーズの初回に指摘したとおり、「計画停電」は復興を阻害する3つの要因のひとつであり、それが原則実施されないこととなったのは復興に向け大きな節目となると思う。
東京ディズニーランドの15日再開報道は、液状化現象に見舞われた東京ベイエリアや浦安市から、世界に対する復活のメッセージでもある。
また、発表では、「『原則不実施』を夏場においても継続することを目指す」としており、利用者側の節電努力とあわせ、これが実現するよう願っている。
今回の決定を受け、今後の電力不足対策に関する、需要者、政府、電力会社それぞれの課題を今回と次回の2回に分けて考えてみたい。今回は需要者側である。
(需要者側の課題)
節電については、ピークを平準化するための対応策を既に発表している企業もあり、それぞれの企業・業界の事情に応じてこうした努力を続け、その成果を具体的に公表することが期待される。そして、この取り組みと合わせ、グローバルなサプライチェーンを持つ企業は、リスク管理策として、工場立地の見直しの検討を行うことが求められる。また、やや長い目で見てのことになるが、これを契機に省電力に関する新たな技術革新にも取り組むべきである。
さらに、ピークの平準化や冷暖房設定温度の見直し等の運用策とあわせ、省エネ機器への切り替え、住宅の省エネ対応、太陽光発電の導入等についても企業、個人の双方で推進してほしい。既にビジネスレター(No.576「省エネ診断の勧め」)で触れたとおり、中堅・中小企業の場合、省エネ診断を受け、対策を実施することで確実にコスト削減効果を実現できることが多い。また、家庭でも電球を長時間点灯している場合はLED電球への切り替えがお勧めとなる(注)。
改めて、検討をお勧めしたい。
なお、若干視点は違うが、マネジメントスクエアの4月号にCRIレポート「小売・サービス業における地球温暖化防止への取り組みに関する調査~小売・サービス業はCO2排出削減に本腰を入れた取り組みを~」を掲載している。あわせて参考にしていただければ幸いである。
(注)ビジネスレター2月16日号では、「蛍光電球」も切り替えの選択肢となる旨記載しましたが、会員の方から「蛍光電球には水銀が使用されている」とのご指摘を頂きました。ご指摘のとおり、蛍光電球には白熱電球に含まれない水銀が使用されており、その廃棄処理コストを含めコスト比較を行うことが望ましいことを補足させていただきます。
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