わたしの意見-
水野 創

景気判断は引き上げられたが ―膨らまない復興への期待

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」7月14日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 日本銀行は7月の金融経済月報で景気判断を「震災による供給面の制約が和らぐ中で、持ち直している」と先月よりさらに引き上げた(注)。また今年度の実質GDP成長率見通しを+0.6%から+0.4%に引き下げたが、引き下げ後でも調査機関の見通しの平均(+0.1%)を上回っており、先週の支店長会議を経て回復についての確信を強めているように感じられた。
 (注)6月は「震災の影響により、生産面を中心に下押し圧力が続いているが、持ち直しの動きもみられている」としていた。

 こうした中で情けないのは原発問題を巡る政治の混迷である。菅内閣は浜岡原発の停止要請に続き、ストレステストの実施、エネルギー政策の見直しと、内閣の存続期間と全く異なる時間軸の政策を次々と打ち出している。極めて無責任である。さらに、次の内閣が諸課題にどのように取り組む可能性があるか見えて来ないことも残念だ。

 次の政権を目指す政治家は、復興後の国の姿について、エネルギー・年金・福祉・医療・財政・外交等を含め自分の考えを語ってほしい。そして、その優劣を競う中で、国民の目に次のリーダーに誰がふさわしいか明確になってくるとよい。

 このままでは、国民も企業も復興への期待はしぼむばかりである。        

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