わたしの意見-
水野 創

投資資金に狙われた「政治状況」

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」8月11日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 先週来、世界各国で為替、株式市況が大きく変動している。これに対し4日に政府・日銀は為替介入を実施し、金融緩和策も強化した。9日には米国でも超低金利政策継続を宣言した。

 米国経済の「2番底」懸念や為替円高は昨年夏にも経験したところだが、昨年との最大の違いは「政治状況」を投資資金に衝かれた点だと思う。昨年からの米国の量的金融緩和(QE2)でグローバルな投資資金が一段と巨大化したが、米国大統領・議会の対立から米国国債の格付引下げに至る一連の動きにより市況の振れは一挙に大きくなった。

 一方、現時点で実体経済が大崩れしているわけではない。米国経済の先行きに対する弱気化は、強気、弱気が交互に入れ替わってきた従来からの流れの中に位置づけられよう。

 こう考えると、先行きについての留意点は以下の通りとなろう。

 (1)政権基盤が不安定な時、「政治発」の相場は今後もありうる。なお、相対的に政権が安定している中国では別な動きになりうる。

 (2)当面、グローバルな投資資金は一段と増える方向となろう。

 (3)市況変化により企業マインドが過度に慎重化し、世界経済の回復基調が崩れないよう、引続き、政策当局の適切な対応が求められる。

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