わたしの意見-
水野 創
成田空港の想定外の脅威
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」10月20日号に掲載)
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]
千葉銀行はこのほど「成田空港と千葉県経済の飛躍的発展のために」と題する調査・提言を公表した。
今回の調査・提言では、成田空港は、国際線の需給両面で想定外の脅威にさらされていると指摘している。
想定外の脅威の内容は以下の通りである。
(1)羽田空港の再国際化により首都圏の国際線の供給力が大幅に増加した。
――成田空港だけであれば、年間発着枠30万回到達時の供給力の増加は35%増加にとどまるが、羽田空港分が入ると8割増に激増する。
(2)東日本大震災と原発事故の影響で、昨年6月に策定された新成長戦略のうち「訪日外国人2500万人プロジェクト」の見直しが必要になっていること。
――訪日外国人2500万人が達成されれば、(1)の35%増加を上回る利用者が見込まれたが、現状は戦略の立て直しが必要な状況になっている。仮に1500万人では成田空港の利用者増加は2割程度にとどまるというのが今回の推計結果。3000万人を達成してようやく6、7割の増加となる。
(3)首都圏の利用者のうち、成田空港へのアクセス時間に比べ羽田空港へのアクセス時間の短い人、すなわち潜在的な羽田ファンが圧倒的に多いこと。
――1都3県で成田が近い人が1割弱、羽田が近い人が6割強、残り3割が大差なし。
千葉県経済の飛躍的発展を目指し、魅力ある成田空港作りのために地元経済界も力を合わせてこれらの脅威に立ち向かう必要があると思う。
調査の概要、本文は調査研究情報「成田空港と千葉県経済の飛躍的発展のために~新たな時代を迎えた成田空港をビジネスチャンスに活かせ」に掲載しているのでご覧いただければ幸いである。
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