わたしの意見-
水野 創

増税先行の経済運営では元気は出ない  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」12月1日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 野田首相は9月末以降、復興増税、消費税増税、TPP交渉参加への協議入り等次々と重要な経済運営に関する判断を示した。11月3,4日のフランス・カンヌのG20だったり、11日のハワイのAPEC首脳会議だったり、国際会議での発言として国外でなされることも目立った。

 これらの発表は、党内、与野党の議論の後、個別に行われるので、政権が全体としてどのような経済運営をしようとしているのか極めて分かりにくかったが、11月21日の第2回国家戦略会議で日本再生基本戦略が議論され、漸(ようや)く一通りのメニューが揃ってきた。

 ただし、各政策を今後数年の時間軸の中に位置づけると、まず、増税から固まってくる。その原資を稼ぐはずの日本再生戦略は、復活・両立(成長と財政再建)、フロンティア開発(経済・社会の)等に重点をおいているが、その具体化は来年半ばと後回しになっている。

 来年度がピークとなる復興需要も活用して、生産性・グローバルな競争力を向上するとともにデフレ脱却に目途をつけ、昨年6月の「新成長戦略」で示された名目成長率3%、実質成長率2%の実現を加速する。そして、増加した所得の一部が増税に充当され財政再建も実現していくという経済の枠組みが一刻も早く明確にされるよう期待したい。

 わが国が元気を取り戻し、閉塞感を脱却するにはこのことがぜひ必要である。

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