わたしの意見-
水野 創

強まる金融政策へのプレッシャー~消費税増税までのデフレ脱却~ 

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」4月5日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 3月30日、政府は税制抜本改革法案を国会に提出した。

 デフレ脱却に向けて数値目標はおかず、「物価が持続的に下落する状況からの脱却および経済の活性化に向けて」、「名目の経済成長率で3%程度かつ実質の経済成長率で2%程度を目指した望ましい経済成長」に「早期に近づけるための総合的な施策」を講ずるとされている。

 名目3%、実質2%という経済成長率は、平成23年度から10年間の平均だが、既に23年度はマイナス成長、24年度も上回るのは実質だけである(政府見通し)。このため、残り8年でこれに近づこうとすれば、25年度以降は名目4%程度、実質2.3%程度の成長を続けなくてはならないこととなる(図表1)。ちなみに25年度まで見通しを公表している民間調査機関の25年度の平均値は、名目1.2%、実質1.5%である。数値目標主張者は増税させないと言っていると直感的に感じさせる。

 一方、「物価が持続的に下落する状況からの脱却」については、政府見通しで24年度CPI前年比が+0.1%、民間見通しでは消費税引き上げ前年の25年度に漸く+0.1%となる(図表2)。少なくともプラスを確保できるよう、政府は日銀に「1%目標」の早期実現を求め続けることとなろう。  

 

 今後、総合的に施策の効果が出ると評価されれば、長期金利は緩やかに上昇を始める。また、金融緩和強化で資産価格を含む価格変動がより大きくなるとみられれば、長期金利の変動幅もより大きくなろう。消費税増税が長期金利変動のリスク要因になるとの認識が必要である。

●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。