わたしの意見-
水野 創

復興の「今」を伝えたい―12年中の千葉県の人口減少について

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2月7日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 先週、12年中の千葉県の人口について2つの発表があった。総務省の「2012年の人口移動報告」(1月28日)と千葉県の「常住人口調査」(1月31日)だ。それぞれの新聞の見出しは「宮城、復興需要で転入増。千葉は転出超過2位」、「県人口、2年連続減。一昨年上回る1.3万人」で、どちらも千葉県の大震災からの復興状況が心配になり、傷ついた千葉県のブランド力回復にはマイナス材料だと感じた。

 私は、今の千葉県の人口は、この見出しが与えるイメージとは違うと考えている。

 確かに暦年で集計すると発表のとおりなのだが、12年中の状況を月別のグラフで見ると、大震災から1年目の3月までと4月以降では明らかに傾きが変わっている。11年度中、特に後半に大きく下げたが、12年度入り後は月毎の振れはあるが、おおむね横ばい圏内といえる。

 県発表の12月単月では、表のとおり県内全般にわたり厳しい結果となっているが、転入・転出の状況を前年、前々年と比較して見るとここに来ての基調変化は窺えない。転出は、昨年はもちろん震災前の10年の水準も下回って落ち着いている。転入は、大震災後の昨年とほぼ同水準で振るわないが、地域別に見ると12月は直接の被災地以外の市の減少が影響しており、被災以外の要因と考えられる。例えば新築マンションへの入居が少なかったといった事情があるのかもしれない。

 12月の結果に人口復活の力強さが感じられないのは残念だが、このまま横ばい圏内で推移しても、年度替わりの人口移動時期には前年水準を上回るところまで戻るという展望を持ちつつ、当面の復興策やブランド力回復のための情報発信を続けて行きたいと思う。

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