わたしの意見-
水野 創

一年遅れの回復見通し~日本と世界の差

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」1月31日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 1月28日に2013年度の政府経済見通しが、その数日前(23日)にはIMFの2013年、2014年の世界経済見通しがそれぞれ発表された。

 日本も世界も、2013年度は2012年度を上回る回復が見通されている。しかし、比較対照の2012年度は当初見通しに比べ下方修正された後の計数である。当初の2012年度と比較してみると、2013年度は2012年度とほぼ同じ成長率になっている。IMFの2014年見通しも、昨年4月の2013年見通しと同じ成長率であり、日本も世界もいわば「1年遅れの回復経路」を辿っている。

 この1年遅れの背景は、世界の、主に欧州、中国の下方修正の影響であり、特に中国の影響が大きい。これに対し日本は、世界景気の減速だけでなく、為替の超円高、電機業界のグローバル競争での劣位、中国との政治対立要因も加わっている。2012年の修正幅も大きい。

 こうした日本と世界の背景の違いを考えると、2013年が見通しを達成する確実性も違ってくると思う。日本の確度を2012年度との比較で見れば、世界景気の回復、超円高の修正に加え、成長戦略の具体化(競争力強化)、中国との関係改善が必要となり、特に後の2点の不確実性は強い。そう考えると、当面の回復を確実にするための今次経済対策の重要性が理解できよう。

 ただ、経済対策で2013年をかさ上げしても、その効果はほぼ1年で出尽くす。IMFや日銀が示す2014年の日本の成長率は、各国の中でも低めにとどまっている。財政規律の観点から財政中心の政策をいつまでも続けることは出来ない。当面の経済対策とともに、6月に予定されている「骨太の方針」、「成長戦略」の意義を改めて強調し、その内容と成果に期待したい。

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