わたしの意見-
水野 創

30万回達成後の成田空港

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」6月20日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 6月5日に成田で「成田空港の活性化と地域の発展」をテーマにパネルディスカッションが行われ、私も司会として参加した。

 パネルでは、①成田空港の競争力アップやLCCを中心とした発着回数増加、さらに酒々井のアウトレット開業もあって地域の観光だけでなく産業、雇用に幅広くプラス効果が出てきていること、一方、②発着容量30万回に向け整備が進む空港のインフラは、アクセス面を含めまだ十分に使い切る状況にはなっていないこと、③多くのお客様、航空会社に来ていただくために空港と地域の魅力を高めるとともに宣伝し、できるだけ早くフル稼働の目途をつけることが今後の民間投資等に弾みをつけるための課題であることなどが主張された。

 さらに、会場の参加者からは「羽田空港の5本目の滑走路に遅れないよう、成田空港の3本目の滑走路の早期検討着手・実現を」との指摘があり、その後の懇親会では滑走路新設以外の成田空港の容量拡大策などを巡り大いに盛り上がった。

 具体的には、現在の2本の滑走路を前提とした30万回達成後の発着回数増加策、旅客・貨物の利用増大に対応したスペースの再配置、圏央道とのICの設置、今後の検討スケジュールなどである。

 ちなみに羽田空港の能力拡充策は、「首都圏空港の将来像」(2009年、運輸政策研究機構)において、発着間隔の短縮、A滑走路の南方延伸、旧B滑走路の再活用、新滑走路の整備(C滑走路東側、木更津沖)など多岐にわたり検討されている。この調査では、成田空港の容量は30万回を前提とし、首都圏空港の容量を年間100万回と見通している。

 有力になりつつある2020年の東京オリンピックが正式に決まれば、お客様をお迎えする準備も進むだろう。成田空港も準備を怠れない。

 (注)なお、当日のパネリスト(発言順)は夏目成田国際空港会社社長、小泉成田市長、花田京成電鉄会長、羽尾経済産業省官房審議官でした。概要はマネジメントスクエア9月号に掲載予定です。

 

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