わたしの意見-
水野 創

大荒れの相場と財政再建

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」6月14日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 株式、為替、債券(長期金利)各市場で大荒れが続いている。

 日々の動きは何とも言えないが、少し長い目で考えるときには、各市場の投資家は各国経済の基礎的状況を注視しているはずだ。

 米国経済は、振れを伴ってはいるがリーマンショックからの回復が進んでいる。時期はともかく緩和政策からの出口が意識され始めていることは確かだ。これに対しわが国は、デフレ脱却の目標は示されているがまだ達成の目途は付いていない。むしろ「大胆な金融緩和」や「TPP交渉参加決定」までの政策決定と、その後の「成長戦略」、「骨太の方針」決定とでは、選挙、既得権など現実の壁に直面し、大胆さやスピード感、その結果としての政策に対する期待・信頼感に大きな差が出ている。

 特に昨日決定された「骨太の方針」における財政再建については、具体的対策が先送りされた極めて不十分な内容だと思う。

 財政の置かれた厳しい状況と再建の難しさは、財政の主要項目の推移をみても容易に理解できる。100兆円に達したあと高止まりしている歳出、増加し始めた国債費、1,000兆円に近付いた政府財務残高、これに対し低調な租税・印紙税収入は最近20年間で見てピーク比8割、名目GDP比1割以下にとどまっている。

 この困難な状況にどう立ち向かおうとしているのか、言葉ではなく、具体的施策と数字の裏付けを示し、国民全体で負担を共有して、困難を克服していくリーダーシップが見られている。

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