わたしの意見-
水野 創

2013年度の成田空港利用者は既往ピークに

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」11月14日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 9月の訪日外国人は前年比31.7%の増加となり、中国人も1年ぶりに増加した(観光庁10月23日発表)。1~9月合計は773万人(前年比+22.4%)で、観光庁は、年間初の訪日外国人1,000万人達成(2012年835万人比2割増)を目指したキャンペーンも打ち出した。

 こうした中、12日に成田国際空港株式会社が発表した2013年度の航空旅客数は3,543万人と、これまでのピークである2006年度の 3,533万人を7年ぶりに更新する見通しである。

 内訳は、国内線がLCC効果から最高の480万人(前年度比+29.1%)、主力の国際線は3,062万人(同+3.1%)。国際線は2006年度の3,418万人を1割下回っているが、羽田空港へのシフト(2012年の羽田の出入国総数は790万人)を考慮すれば首都圏空港全体の全国シェアは維持していると見られる。

 県内の関連業界のみなさんからお話を伺っても、内外利用者増加の効果が感じられる。

 先行きも、東京オリンピック・パラリンピック開催の2020年の訪日外国人目標は2,500万人だ。ウェイトの高い日本人の出国は前年を下回ったままだが、日中、日韓関係が安定に向かえば回復するだろう。

 しかし、成田空港を取り巻く環境が厳しいことは変わらない。羽田空港の国際線年間発着枠が2014年春に更に3万回拡大され、LCC国際線就航により各地の空港も利用者拡大を図っている。海外も含め厳しい空港間競争が続くはずだ。

 成田空港も地元のわれわれも、年間発着枠30万回(2013年度見込み22.5万回は約7割)の早期実現・その効果の享受と2020年東京オリンピック、パラリンピック後も展望した一層の能力引き上げの検討を急がなくてはならない。

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