わたしの意見-
水野 創

消費税引き上げに備える体力と気力

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」12月12日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 いよいよ年末が近づいた。年が明ければ、消費税引き上げ前の駆け込み需要も本格化してこよう。

 今回は消費税引き上げに備える体力と気力を現時点で確認しておきたい。

 まず、体力について、民間エコノミストの最新の2014年度の実質成長率の見通しでみると、消費税引き上げの個人消費への影響などから減速は避けられないものの、アベノミクス1年目の効果や今後の経済対策も織り込んで失速する姿とはなっていない。四半期別の動きや消費税引き上げ前後の振れが均(なら)される2014年暦年の成長率見通し(前年比1.7%)が2013年(同1.8%)比ほぼ横ばいとなっていることもそれを裏付けている。業種や地域によってアベノミクスの効果に差があることは事実だが、最近の堅調な米国経済や米国中央銀行の慎重な政策運営方針も考えれば、総論として違和感はないだろう。

 また、最近の企業動向をみると、グローバル企業が中期的に世界戦略を練る一方、国内で事業を続ける企業も超円高局面で海外にシフトした需要・供給が戻ってくることはないと覚悟し、変化に対応した新しい製品・サービスに挑戦しており、経営者が閉そく感を払しょくし前向きに転じていることが感じられる。

 そうした民間の気迫を萎えさせないよう、公的部門の積極的な支援、政策対応を期待したい。

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