わたしの意見-
水野 創

金融緩和の出口で―米国経済とFRBを試す市場資金

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」1月31日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 先週23日から為替、株式市場を中心に市場が大きく変動している。

 昨年末に米国の量的金融緩和縮小決定を受け、わが国でも円安と株高が進行し、景況感が大きく改善した後での急変だ。アベノミクス2年目に向けて折角盛り上がった期待感に水が差されないか気になるところだ。

 今回の動きは、新興国経済の先行き懸念を材料に、市場資金が米国経済の回復力の強さとFRB新体制の対応力を試す海外発の動きと考えられる。日々の動きを予測することはできないが、以下のような流れの渦中にいると考えれば過度に心配する必要はないと思う。

 IMFの最新の世界経済見通し(1月)では、米国経済の回復と金融政策の変化そしてその新興国への影響も前提として2015年にかけての世界経済成長率を上方修正している(2014年前年比+3.7%、2015年同+3.9%)。

 変化の発信源のひとつであるFRBは、一連の変動により米国経済の回復が損なわれると判断すれば、出口に向かう手法を変更するだろう。逆に手法に変化がなければ、回復基調にも変化がないと考えてよいだろう。

 量的金融緩和はわが国が世界に先行したが、世界中に広がった量的緩和からの出口では米国が先行している。これまでに蓄積された巨額な緩和資金が、初めての環境の中で利益、安心を求めて試行錯誤している。今後も材料が生じる都度大きく動く可能性が強いが、関係者が、この新しい環境に慣れてくるに連れ、昨年5月以降と同様、変動幅は小さくなり、最終的には回復の動きに吸収されて行くのではないかと期待している。

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