わたしの意見-
水野 創

貿易収支改善に向けて

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2月13日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 10日に財務省が発表した13年の国際収支状況(速報値)では、貿易収支の赤字が前年より5兆円増加し10兆円となった。円高修正や海外景気の回復で、輸出は5兆円増えた(61→66兆円)ものの、エネルギー原燃料や携帯電話など輸入が10兆円増加した(66→76兆円)結果である。

 このうち(1)輸出、特に輸出数量の伸び悩みについて、超円高局面で生産の海外移転が進み、従来の得意分野でブランド力を失っていること、また(2)輸入についても景気回復による需要増加や円安進行で今後も増加すると考えられることなどから、貿易収支の先行きについても慎重な見方をする向きが増えている(1月の日経センター「ESPフォーキャスト調査」では14年8兆円、15年6兆円の赤字見込み)。

 確かに、これまで得意としてきた分野でも、いったん海外にシフトした生産は戻ってこないだろう。しかし、やや長い目で見れば、元気を取り戻したわが国企業により、新しい環境、ニーズに応じた製品やサービスの開発が進むと期待できること、輸入についてもエネルギーコストの上昇に対しこれまで以上に省エネが進むと考えられることから、貿易収支は、世界経済の成長、成熟化とも相まって改善に向かうことが期待できると思う。新たに構築される最新、最高の省エネ技術も、インフラ、安心・安全、高齢化対応などとともに輸出増加に寄与するだろう。

 年初来、昨年一年間の蓄積で元気を取り戻した経営者のみなさんが、新しい設備投資の話を嬉しそうにされているのを聞くにつけ、そうした思いを強くしている。

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