わたしの意見-
水野 創

9月短観の前提は1ドル100円

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」10月3日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 日銀の9月短観が発表された(10月1日、業種別等は2日)。

 今回の調査は、消費税引き上げ後の回復力が夏場の天候不順もあって当初期待を下回っている状況で、企業の業況判断や2014年度事業計画がどのように変化しているかが第一の注目点だった。このうち全産業全規模合計の業況判断は12月までの見通しを含め横ばい圏内(6月:7%ポイント、9月:4、12月:4)でこれまでに比べ慎重になっている。しかし2014年度事業計画に崩れはなかった。回復の主役となることが期待される設備投資計画も、大・中堅・中小企業の製造・非製造業の全てで前回調査に比べ増額修正されている(図表1)。

 注目点の第二は最近の円安進行、株価上昇の影響であった。しかし、この点の回答は次回12月調査に持ち越された。すなわち今回調査の回収期間(8月27日から9月30日)は円安進行、株価上昇局面と重なるが、企業が回答の前提としている2014年度の為替相場は1ドル100.73円(上期同100.83円、下期同100.63円)と前回調査の同100.18円(上期同100.14円、下期同100.23円)から変化していない。2013年度は円安・株高進行とともに事業計画は上方修正されており、今年度も今後同様の動きになることが期待される(図表2)。

 いずれにしても、2014年度の日本経済は、当初見通しどおり、元気を取り戻した民間企業が、所得の伸びが物価上昇に追いつかない家計部門を支える形になっている。為替・株式市場の動きは急だがこのあたりで年初来の停滞を一気に吹き飛ばすことを期待したい。

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