わたしの意見-
水野 創

用途別、地域別に差が大きい基準地価

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」9月25日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 国土交通省から7月1日時点の基準地価が公表された(9月18日)。8月の地価LOOKレポートで、大都市圏が上昇傾向にあり、千葉県でも千葉港が下落から横ばいに転じるなど、その効果が及んできたことは既に明らかになっているが、今回はそれ以外の地域の状況を含め確認できる。

 (1)全国、東京圏、千葉県で地域間の差は大きい(図表1)。全国は下落幅縮小、東京圏は昨年の商業地に続き住宅地も上昇に転じた。そして千葉県は東京圏に一年遅れて商業地が上昇に転じている(埼玉県の商業地も今回上昇に転じている)。

 (2)県内の状況を用途別、市町村別にみると、住宅地が上昇している地域に比べ、今年上昇に転じた商業地で上昇している地域の広がりが目立つ(図表2)。アベノミクス効果、交通インフラ整備、人口増減要因などの影響の差が考えられる。

 因みに、県内商業地で今年上昇に転じたのは、柏、松戸、浦安、君津、東金の各市と千葉市中央区。

 (3)上昇している地域についても、地価そのものは前回ピークの2008年に比べればまだ1割以上低下した状態である(例えば、千葉市102.7千円/㎡、2008年119.3千円/㎡、住宅地平均)。こうした中にあって、東京都心3区のうち中央区は住宅地平均で2008年を上回っているのが注目される(833千円/㎡、2008年805千円/㎡)。

 東京都中央区は2020年東京オリンピック・パラリンピック開催地で再開発や湾岸の高層マンション建設が進んでいるため突出した動きになっているのだろう。我々も中・長期的な展望のもとで、地域の魅力を高めていかなくてはならない。

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