わたしの意見-
水野 創

低めのIMFの2014年日本経済見通し

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」10月17日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 海外発の市場の激震が続いている(表1)。

 一連の動きは、経済の現状に即したものというより、米国の金融政策の節目と経済の先行きに対する不安が重なったことで増幅されている。

 その先行き不安を煽った一因が7日に発表されたIMFの2014年世界経済見通しだが、その中では日本経済の減速が際立っていた(表2)。

 すなわち、今回のIMF見通しでは日本の2014年成長率は前年比+0.9%と前回7月見通しから0.7%下方修正されており、幅は主要国では最も大きい。また、2013年に比べ成長率を高めている国が多い中で日本はウクライナ問題を抱えるロシアに次ぐ大幅低下である。

 因みに今回のIMF見通しをほぼ同時期(9日)公表の10月ESPフォーキャスト調査結果と比較してみると低めの見通しをしているグループに近い内容となる(全予測機関平均前年比+1.2%、上位8機関平均同+1.6%、下位8機関平均同+1.0%。なお下位8機関平均の第3、第4四半期の成長率見通し(季節調整済み前期比)は、第2四半期▲1.8%のあと+0.6%、+0.2%にとどまっている)。

 確かに日本経済は、所得の伸びが物価上昇に追いつかず消費関連はさえない動きとなっているが、8月の天候不順を乗り切った後は基本的には回復基調に復している。そうした中での今回のIMFの日本経済に対する評価には違和感がある。

 IMF見通しは各国当局とも調整して作成される。消費税再引き上げの判断を控えたこの時期に、もともと政府見通しより慎重な民間見通しの中でも低めの見通しをあえて採用していることの政策意図に憶測も生じる。日本の政策当局は適切な方法で世界に発信された不安を払しょくすべきだと思う。

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