わたしの意見-
水野 創

地方創生、どの分野で戦うか

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2015年6月25日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 地方創生の動きが本格化し、各地で人口ビジョンや地方版総合戦略の作成が始まっている。

 「消滅可能性自治体」が発端だったため、「人口減少・高齢化にどう対処するか」に目が向きがちだが、課題はそれだけではない。デフレ、リーマンショック後の超円高、東日本大震災などにより苦境に陥った地域経済についての、関係者が共感・連携できる将来像を描く必要がある。

 各地が総花的に対策を講じても共倒れになる。それぞれが得意分野を生かし、アベノミクスで元気を取り戻した企業が力を発揮できる環境(規制緩和等)を作り、必要な交通・通信インフラ等社会資本の整備を限られた財源の下で優先順位をつけて進めなくてはならない。

 ここでは首都圏(茨城県を含む1都4県)の得意分野を、全国シェアで見てみよう。

 首都圏全体の人口、就業者シェアは3割だが国民所得では35%を占める。年間商品販売額や外国人宿泊者数のシェアが高い一方、工業・製造品出荷額、農業産出額、病院数は低い。

 こうした特徴は中心となる東京都(人口シェア11%)の特徴をほぼそのまま反映している。

 千葉県(同5%)は全体のバランスがよく、中では外国人宿泊者数が高め、年間商品販売額、病院数は低めである。

 神奈川県、埼玉県(同各7、6%)は人口シェアを目立って上回る項目はなく、年間商品販売額、農業産出額、宿泊者数などが低い。

 茨城県(同2%)は農業産出額、工業・製造品出荷額が高く、宿泊者数、年間商品販売額が低い。

 こうした特徴を生かし、今後どのような施策で地域の魅力・活力を増していくか、また、広域で取り組むべき課題で力を結集できるか、勝負どころだと思う。

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