わたしの意見-
水野 創

「年内利上げ」の反応を確認―FRB

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2015年7月17日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 日銀の政策決定会合、米国中央銀行(FRB)議長の議会証言が相次いで行われ、日銀は2015年度の実質GDP成長率見通しを「幾分下振れ」させ(表1)、FRB議長は年内の利上げの可能性に改めて言及した(15日)。

 日銀は米国経済の春先までの一時的減速の影響を織り込み、FRBはその後の回復の確かさを確認している。

 もっとも、日本の最近の状況を景気ウォッチャー調査で見ると、現状判断DIは4月まで上昇した後、5月は横ばい、6月は家計部門を中心に低下している。地域別DIを見てもピークは4,5月でばらつきはあるが6月は各地で低下している。また、東大日次物価指数(前年比、以下同じ。6月:0.5%、7月14日:0.9%)、売上高指数(6月:0.7%、7月14日:0.5%)は足元では共に前年比プラスだが、値上げ浸透の一方売上は伸び悩んでいる。見通しの下振れが海外要因だけで起こっていると捉えるのには違和感がある。

 業種別、企業規模別、地域別の回復力の差が続いており、アジア、ギリシャを含む海外要因のほか耐久財を中心とした消費税引き上げ後の調整継続、天候要因などの影響も受けているのだと思う。

 昨年夏は自然の猛威を受けた。今年も、先行き、海外、国内の動向を幅広く深く見る必要がある。

 リーマンショックの後の世界中の金融緩和で、いったん下落した株価は上海だけでなく世界中で大きく上昇している(表2)。今回のFRB議長発言に市場は冷静だったが、引き上げが迫れば相応のショックが予想される。FRBは今後も市場と対話しながらショックが大きくなりすぎないよう慎重に政策を進めると思うが、それにしてもショックへの心構えが欠かせない段階になってきた。

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