わたしの意見-
水野 創

高まる市場激震への耐久力

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2015年7月10日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 ギリシャ、中国発の激震に世界中の株式、外国為替、債券市場が見舞われた。

 2013年5月のバーナンキショック(金融政策変更+中国経済懸念)、2014年1,2月のイエレンショック(金融政策変更+新興国通貨不安)に続く、2015年7月のギリシャ(国民投票)・中国(上海)ショックと振り返られることになるだろう。

 もっとも、今回のショックは前2回と異なり、米国の金融政策変更の動きとの関係は薄く両国固有の原因による。また、回数を重ねるにつれ世界経済のショックへの耐久力もついている。

 今後も政策変更、ギリシャ支援交渉など材料には事欠かず、ジャブジャブに資金が溢れる市場が、時に大きく振れるのは避けられない。ただ、以下のような理由から、やや長い目で見れば、世界経済の回復過程への大きな影響は回避されると思う。

 ①米国、日本がこれまでの緩やかな景気回復継続から、体力を強めていること。

 ②米国政策当局の、出口に向けた市場との付き合い方も熟練度を高めていること。

 ③ギリシャ問題については、これまでの準備期間を経ることで、他のユーロ諸国・世界経済への影響が限定的であるとの認識が深まっていること。

 ④中国は政治問題を抱え、経済に対しては短期的には国の管理強化で対応するとみられること。

 なお、日本については、最近の天候不順や噴火・地震多発の影響も気になるところだ。これに一時的な円高、株安も加わることで、企業・家計のマインドが過度に萎縮するといったことがないよう願いたい。

 (注)円高については前号でも指摘したとおり、日銀短観製造業の2015年度事業計画の想定為替レートは115.73(前回112.12)円/ドルで余力がある。

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