わたしの意見-
水野 創

新しい需要に対応する民間の知恵・起業家精神に期待

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2015年9月17日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 日銀は、今週の政策決定会合で、政策変更こそ行わなかったが、景気判断を下方修正した(15日)。最近の冴えない景気指標や荒れ模様の市場に対し一定のメッセージが発せられたと思う(表1,2)。

 今回の下方修正は「新興国経済の減速」を理由にしたものだが、今後も冴えない指標の発表が続けば、来月以降追加的なメッセージの発信や政策対応も考えられる。今日は米国FOMCも予定されており、市場は振れが大きい状態が続くだろう。

 さて、国内経済に勢いがつかない理由は、①海外要因のほか、②円安の効果や昨年4月の消費税引き上げの影響に地域別・業種別・規模別の差、③雇用者報酬の増加の遅れ、④天候要因等さまざまあるが、このほか、環境変化に応じた新しい価値創造に時間がかかっていることも一因だと思う。

 すなわち、現在成長戦略、地方創生では①高齢者福祉・医療介護、②観光、③農業の6次産業化などが主な柱になっているが、これらのニーズに応じた新しいビジネスを構築するにはそれぞれ難しさがある。

 例えば、①高齢者のニーズはそれぞれの状況により異なり少量多品種であるし、支払い能力にも大きな差がある。②医療・介護は保険制度や既得権の制約が大きい。③観光は商業施設の新増設は活発に行われているが、より広く効果を得るためにはインフラ整備と人材育成が不可欠となる。④農業は農地法等の制約があるほか、時間のかかる後継者対策と一体で行わなくてはならない。などである。

 周囲を見ると個別にはすでに成果も出始めている。民間の知恵・起業家精神とそれを支援する規制緩和などにより、これが大きな流れとなるよう我々も応援していきたい。

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